人はなぜアートを楽しむのか。それは単なる嗜好の問題ではなく、進化の過程が関わっているのかもしれません。『なぜ人はアートを楽しむように進化したのか？』を読み、その考察に心惹かれました。

本書によれば、人間は生存戦略の一環として 対称性や比率を美しく感じる 本能を備えています。これは数学に美しさを見いだす感覚に通じていて、整然とした数式が表す自然界の法則から、生存するための秩序や調和を本能的に評価しているのかもしれません。

スクワットのフォームが完璧に整ったとき、そこには奇妙なほどの満足感があります。私のジムには、スクワットをするのが初めての方が多く訪れます。
正しいフォームの見本を見せると、「美しい」とお褒めいただくことは一度や二度ではありません。トレーニングについて知らなくとも直観的にそう感じるようです。

たかが屈伸運動と侮るなかれ。私が思うにスクワットの動きには「力の発揮」と「静止の制御」が見事に調和し、まるで振り子が定められた軌道を描くような美しさがあるのです。動作の乱れは数学の誤差にも似て、微細ながら確実に全体の調和を損ないます。バランスを崩したスクワットは、音の外れた演奏のように違和感を生むものです。

トレーニングを続ける中で、動きの美しさを感じる瞬間があれば、それは本能的な感覚なのかもしれません。調和のある動作には、人間の深層に息づく美の法則が働いているようです。

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